東大院生デイビッドの宇宙開発ブログ

宇宙工学エンジニアを夢見る若造が好きなことを好きなだけ発信.

そこが知りたかった!宇宙初心者のための宇宙工学入門 第1弾 宇宙開発の歴史

 

宇宙開発が話題となっている昨今.「21世紀は宇宙の時代」とまで言われています.そんな宇宙について,「あまり知らない」「でも魅力を感じている」「少し踏み込んで知りたい」という宇宙初心の方を対象に,宇宙工学に関して簡単な紹介をしようというコーナーを思いつきました.名付けて,,,

宇宙初心者のための宇宙工学入門!!!

(未熟な自分の勉強のためだなんて言えない)

 

さて,今回のテーマは「宇宙開発の歴史」です.

宇宙開発について知っておくと,おっこいつなかなか詳しいな?と思われるような事柄を独断と偏見で選抜しお伝えします.

 

  

宇宙開発の歴史

1900年〜

まずは,どのように宇宙開発が行われてきたかについて知っておきたいところですよね.

宇宙に行くにはまず,空を飛べないと困ります.それも人間が操縦・操作可能な飛行を実現する必要があります.そんな飛行,有人動力飛行に世界で初めて成功したのは,皆さんもご存知,自転車屋さんのライト兄弟(Wright brothers)です(1903年, アメリカ).ここから飛行機の開発が急激に加速していきます.「飛行機」が実現して115年となるんですね〜初の自動車は250年前ですから,比較的新しいテクノロジーであることがよくわかります.

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(ライト兄弟の飛行機フライヤー号https://ja.wikipedia.org/wiki/ライト兄弟より)

 

そんな中,ロケット旅行の父と呼ばれる,ロシア(ソ連)のコンスタンティンツィオルコフスキーが,1916年に,ロケットによる宇宙飛行の原理を書いた「地球の外で」を発表します.この中に記されていたロケットの噴射と速度の方程式が,現在実際に飛んでいるロケットの基本原理になっており,ロケット方程式(ツィオルコフスキーの式)として知られています.

人工衛星という概念を初めて考え出したのも彼なんだとか.当時は,あまりに奇抜な考えだったためにファンタジー扱いで評価されなかったそうです.安心しーや!コフやん!全部現実になってんで!

 

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(ツィオルコフスキーとエンジンのアイデアESA Blog Navigatorより)

 

そして,近代ロケットの父と呼ばれるロバート・ゴダードが,1926年に世界初の液体燃料ロケットの打ち上げに成功します.

 

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(ゴダードと液体燃料ロケット,宇宙情報センター / SPACE INFORMATION CENTER :世界の宇宙開発の歴史 20世紀前半より)

 

それから,ドイツとアメリカで次々にロケットの打ち上げが成功します.この当時のロケットは,飛行しても高度100m程度でした.

1942年,ナチス政権時代のドイツで,現在のロケットやミサイルすべての原型となるV-2(A-4)ミサイル(ロケット)が,ウェルナー・フォン・ブラウンらによって開発されました.このフォン・ブラウンナチス崩壊の際に,アメリカ側に投降し,その後のアメリカのロケット工学の発展に貢献しました.宇宙開発の歴史を語るのに欠かせない人物です.

 

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(V-2 (A-4),宇宙情報センター / SPACE INFORMATION CENTER :世界の宇宙開発の歴史 20世紀前半より)

 

残念なことに,飛行機は第一次世界大戦を皮切りに発展し,ミサイル(ロケット)は第二次世界大戦を機に発展しました.航空宇宙工学と戦争を完全に切り離すことはできません.そういった歴史の上に宇宙工学が成り立っています.現在も国の防衛のために各国がそういったテクノロジーを育てている側面もあるでしょう.しかしながら,宇宙開発を通じて国際協力・平和形成がなされていることも事実です.この宇宙開発競争を一種のスポーツのようなものだと捉えて「全世界・全人類が一丸となって宇宙という未知なる領域に挑戦する」.面白いこと,夢のあることをみんなで追いかける.そんなふうな大きな流れが生まれれば,素敵だと思いませんか?後で見返して恥ずかしくなりそうですが,若造はそんなふうに思っております.

さてさてとっても脱線してしまいました.続きに行きましょう!

 

 

 

1950年〜

 

 

戦後の1950年代.冷戦時代に突入し,アメリカとソ連の熾烈な宇宙開発競争が始まります.

1957年,世界初の人工衛星スプートニクソ連によって打ち上げられます.

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(スプートニク)

 

そして,1958年にはアメリカの航空宇宙局 NASA (National Aeronautics and Space Administration)が発足します.

その後両国は次々に,衛星・ロケットを打ち上げました.

 

そんな折,1961年に,ソ連が世界初の有人宇宙船ボストークを打ち上げます.この船には,世界的にも有名なあの名言「地球は青かった」を輩出した(?)ユーリ・ガガーリンが搭乗していました.彼は世界初の宇宙飛行士です.

 

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(ボストーク1号ユーリ・ガガーリン

What Yuri Gagarin Saw on First Space Flightより 

)

 

その後も数々の人工衛星が打ち上げられ,1964年には,東京オリンピックの全世界中継が人工衛星を用いて行われました.1966年には,アメリカの人類初の月周回飛行計画,アポロ計画の第一号,アポロ1号が打ち上げられました.なおこのアポロ計画のため,史上最大のロケットサターンシリーズの開発も行われました.そして,1968年アポロ8号が世界で初めて有人の月周回に成功します.

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(サターンVロケット,NASA)

 

そして,1969年7月16日,アポロ11号が打ち上げられました.

その4日後の1969年7月20日,月面の「静かの海」に人類が初めて足を踏み入れました.月面に21時間36分滞在し,22kgの石を採集しました.船長のニール・アームストロングは,月面に降り立ち,"That's one small step for man, one giant leap for mankind"「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが,人類にとっては大きな飛躍だ.」という有名な言葉を残しています.

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(アポロ11号)

その後幾度と月面に着陸し,探査を行ったのがアポロ計画でした.

 

1981年 NASAが世界初の有人再使用型ロケット「スペースシャトル(コロンビア号)」の飛行に成功します.

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(スペースシャトルNASA)

 

1984年,アメリカのレーガン大統領が「宇宙ステーション計画」を発表.

1990年,スペースシャトル (ディスカバリー号)が世界初の宇宙望遠鏡「ハッブル」を打ち上げました.ハッブル望遠鏡はこれまで数々の素晴らしい宇宙の姿を収めています.

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(ハッブル望遠鏡 50の傑作画像 その1 | ナショナルジオグラフィック日本版サイトより)

 

その後,NASAスペースシャトルによる活動が続けられました.スペースシャトルの運用は成功ばかりではありませんでした.86年発射直後に爆発し宇宙飛行士の方々がなくなられました.2003年には帰還直前に空中分解し7名の乗員が亡くなられています.

 

2000年〜

 

 

1998年には国際宇宙ステーション構成部品第1号が打ち上げられ,そこから2000年代に着々とステーションの建設が進められました.

2003年には,日本の航空宇宙3機関である文部科学省宇宙科学研究所(ISAS), 独立行政法人航空宇宙技術研究所(NAL), 特殊法人宇宙開発事業団(NASDA)が統合され,宇宙航空研究開発機構JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency )が発足します.

2011年に国際宇宙ステーションが完成.宇宙飛行士が常時滞在し,宇宙ならではの特異な環境を利用した様々な実験を行っており,科学技術の発展に貢献しています.

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(JAXA | 「きぼう」日本実験棟/国際宇宙ステーション(ISS)より)

 

 

 

最近のトピックスとしては,

2003年に宇宙科学研究所ISASが打ち上げた小惑星探査機はやぶさ(MUSES-C)が,2005年に小惑星イトカワに着陸,小惑星からの試料の採取を世界で初めて行い,2010年に地球に帰還しました.これはサンプルリターンと呼ばれ,世界で初めてサンプルリターンを成功させたのは,この日本の探査機はやぶさでした.

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(http://www.jaxa.jp/projects/pr/brochure/pdf/04/sat14.pdfより)

 

また,1997年にNASA欧州宇宙機関ESAが打ち上げた土星探査機「カッシーニ」が素晴らしい写真をいくつも届けたのち,2017年9月にその長い命を終えました.

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(土星探査機カッシーニの残した最も偉大な映像と発見 | TechCrunch Japanより)

 

 

(参考:

宇宙情報センター / SPACE INFORMATION CENTER トップページ

航空宇宙工学入門,室津義定著

ESA Blog Navigator

 

今回は以上です!!他にもたーくさんの衛星・探査機・ロケットが存在しますが,超重要なものは押さえてありますので,ぜひ覚えておきましょう!

 

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